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中国「内需」はもう上向かない

泥縄「二人っ子政策」があぶり出した現実

2015年12月号

「投資から消費へ」。中国はこの数年、経済成長の牽引車をインフラ建設や不動産開発から個人消費に転換しようと躍起になっている。習近平主席の打ち出した「新常態」の具体化だが、掛け声とは裏腹に消費は右肩下がりで、成長率は反転する気配すらない。所得の伸び悩みに加え、少子高齢化や消費の成熟化が急速に進んでいるからだ。この秋、世界を驚かせた「一人っ子政策」の廃止には人口問題以上に内需拡大という狙いがある。逆に言えば、中国の消費は外資企業の期待と裏腹に尻すぼみになりつつあるのだ。  十一月十一日。中国では「光棍節(独身の日)」とも呼ばれ、ここ数年、ネットショッピングのバーゲンセールが異常な盛り上がりをみせる。ネット通販最大手のアリババが運営する天猫(Tモール)はこの日、二十四時間で九百十二億元(約一兆七千三百億円)を売り上げた。昨年の一・六倍という伸びだけでなく、売り上げ規模が日本の大手デパート二~三社分の年間売上高にも匹敵するという点が驚異的だ。  こうした消費に関するニュースをみていると、「中国消費は好調で、まだまだ急膨張する」という印象を持ちかねないが、実態は異なる。中国の消費財小売・・・