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南シナ海「国際仲裁裁判」の戦況

「敗色濃厚」中国の焦燥

2016年1月号

 年の瀬の十二月十四日、中国共産党の機関紙『人民日報』はまたも手前味噌な連載を始めた。「フィリピンが起こした南シナ海裁判という茶番」と題する論評記事を毎日掲載するようになったのだ。  記事の署名は「鐘声」。中国語の発音は「中声」(中国の声)と同じ。同紙が重要問題について共産党の立場を主張する際に使われるペンネームである。執筆者は一人ではなく、複数の人民日報編集幹部と政府系シンクタンクである中国社会科学院の専門家らがつくるチームで書くケースがほとんどだ。  連載の初日のサブタイトルは「派手なパフォーマンスをしても違法行為を隠せない」。南シナ海をめぐり、中国との領有権争いを展開するフィリピンを「ピエロ」「大樹を揺るがそうとするアリ」などと痛烈な言葉で侮蔑している。翌日の記事は南シナ海における中国の歴史的関わりを次々と並べて、従来の領有権主張を改めて強調した。そして三日目からは、批判の矛先をオランダ・ハーグにある国際司法機関、常設仲裁裁判所に向けるようになった。フィリピンの提訴を受理したことについて「勝手に自らの権限を拡大した。そんなやりかたが主権国家から賛同を得られるはずがない・・・