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連載

西風 416

「関空SPC」視界不良の船出

2016年1月号

 二〇一六年四月、関西国際と大阪国際(伊丹)の両空港が新たに生まれ変わって再スタートする。両空港の運営権がオリックスと仏空港運営会社バンシ・エアポートとの企業連合に売却され、このほど最終契約が結ばれた。オリックスとバンシ、さらに関西の有力企業三十社が出資する特定目的会社(SPC)が四月から、新関空会社から両空港の運営を引き継ぐ。全国紙経済部記者が語る。

「『オール関西』が集まって、盛り上がっている。久々に明るい経済ニュースだ」

 新会社の成否はどうなるのか。関西国際空港は一九九四年九月に開港したが、一兆三千億円もの負債を抱え「お荷物施設」のレッテルさえ貼られる始末だった。政府は両空港の運営権を売却することで負債を一掃することを目論んだのである。流行の「コンセッション方式」に乗ろうというわけだ。

 約一年前の一四年十二月には購入希望会社の資格審査が行われ、国内の九社と海外の空港運営会社十一社が名乗りを上げた。国土交通省担当記者は、「当時、国側は少なくとも三社程度は入札に参加するだろうと楽観視していた」と語る。しかし、実際に・・・