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社会・文化

「麻薬」野放しのニッポン

「清原逮捕」にみる薬物取締の限界

2016年3月号

 元プロ野球スター選手、清原和博容疑者が覚せい剤取締法違反(所持)容疑で逮捕された事件は改めて違法薬物の蔓延を印象付け、金星を挙げた警視庁組織犯罪対策五課は脚光を浴びた。だが、所詮は「一罰百戒」にすぎない。いくらビッグネームの検挙とはいえ、今回の事件は底なしに広がる薬物犯罪の世界では取るに足らないレベルだ。見せしめが仰々しくなればなるほど、薬物取締の無力ぶりや、死角に潜む暗部も浮かび上がってくる。 メッキ剝がれる「精鋭捜査チーム」 「どうして清原みたいな重度依存者を捕まえるのに、あんなに時間がかかったのか」。関東地方の某県警で薬物取締に従事した元刑事は警察や厚生労働省などによる薬物取締の力不足を指摘する。確かに、摘発される薬物犯罪はどれも氷山の一角で捜査は追いついていない。今回は清原と一心同体と目されていた渡辺大蔵が昨年十一月に覚せい剤取締法違反容疑で逮捕され、清原との関係や過去の経緯を得々としゃべり始めたことが逮捕に直結したとされる。  渡辺は競馬の予想会社や出版社を経営しながらクスリも捌いていた。警察の動きもマスコミの報道の大半・・・