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政治

「同日選見送り」安倍の深層心理

最大の理由は政権内部の「亀裂拡大」

2016年6月号

 首相安倍晋三が練りに練り、図りに図った衆参同日選挙のシナリオはついに作動することなくお蔵入りすることになった。安倍が同日選を企図したのは昨年十月。当時の民主党(現・民進党)が要求した臨時国会の召集を拒否した時だ。通常国会召集を一月四日という異例の早期に踏み切ったのも、会期百五十日間の定めがある通常国会の最終日、つまり六月一日に衆院を解散すれば七月十日投開票の同日選が可能となるからだった。
 同日選に備えたのだろう。安倍が通常国会を身軽にするため政府が提出した法案、条約などは全部で五十五件。例年の約半分のボリュームに絞り込んだ。その一方で解散権行使の制約だった衆院の定数削減のための公職選挙法改正では強いリーダーシップを発揮し、五月二十日には改正法が成立した。日程的にも法制度的にも安倍はフリーハンドを握った。さらに、主要七カ国(G7)首脳会議(伊勢志摩サミット)のため来日する米大統領バラク・オバマが、サミット閉幕後に被爆地広島を訪問することが決まった。オバマの広島訪問が発表された直後、瞬く間に同日選実施論が自民党内に広がった。
「これでホップ、ステップ、ジャンプの三段・・・