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経済

「長期衰退企業」キヤノンの実像

東芝子会社「高値摑み」の深いワケ

2016年4月号

 キヤノンは複写機、カメラなどの強い商品、抜群の財務基盤、グローバルに高い知名度を持つ優良企業だ。御手洗冨士夫CEOは経団連会長も務め、今や財界でも重きをなす名門でもある。ただ、よくみれば二十一世紀に入って新たに育った商品はなく、複写機、プリンター、デジカメなど成熟した商品への依存が目立ち、製造業としての「老い」は歴然としている。そのなかで、医療機器メーカー、東芝メディカルシステムズの買収には〝回春〟への期待がかかるが、あまりの高値摑みでむしろ足がふらつく不安が浮上している。
 キヤノンには「高収益企業」のイメージが強いが内実は驚くべき不安要素がある。事業部門は、複写機やレーザープリンターなどの「オフィス」、カメラやインクジェットプリンターの「イメージングシステム」、半導体製造装置などの「産業機器その他」の三部門だが、その売り上げ構成は過去十年ほとんど変わっていない。
 二〇〇六年と一五年の部門別売り上げを比較すると、〇六年に五四%を占めていたオフィス部門は一五年にも五六%と横ばい、イメージングシステムも〇六年の三五%が一五年に三三%とほとんど変化がなく、当然、残る・・・