三万人のための情報誌 選択出版

書店では手に入らない、月刊総合情報誌会員だけが読める月間総合情報誌

経済

東燃ゼネラル「裸の王様」が暴走中

石油連盟会長の座を狙う厚顔無恥

2016年4月号

「私がこの会社の社長です」
 東燃ゼネラル石油の武藤潤社長は正体を明かすと、東北のガソリンスタンドの女性店長に金一封を手渡した。驚く店長。やがてその笑顔に、東日本大震災を乗り越えて働く姿が重なって……。
 二月十八日に放送されたNHKの記録番組『覆面リサーチ ボス潜入』のハイライトシーンである。これが、石油業界に称賛と不審の二つの反響を巻き起こしている。同番組は大企業の社長が変装して自社の現場に潜入、ともに働いた従業員を本社に呼び、正体を告白して問題解決策を提示する趣向だが、それに武藤氏が登場したのだ。
 とりわけ、津波被害に遭った宮城県南三陸町の女性店長が、武藤氏に「支えてくれたお客さんに恩返しのイベントをしたいけど、お金がない」と涙ぐんで語る場面には、「もらい泣きした」と好意的に受け止める石油関係者は多い。番組に寄せられた声も「武藤社長の誠実な人柄が感じられた」「現場で働く人たちの頑張りに感動した」など、おしなべて好評だ。しかし……。
「武藤さんはこの時期に、なぜああいう番組に出たのか」・・・