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政治

《政界スキャン》

アベノミクス「立案者」の正体

2016年4月号

 内閣官房参与という不思議な人たちがいる。現在十四人。歴代内閣と比べ、際立って多い。
 首相が各分野の専門家たちを直接任命した非常勤の国家公務員で、官邸か内閣府に個室を与えられ、必要に応じて首相に助言し、情報を上げる。「個人顧問」「特命担当ブレーン」というわけだが、中には官僚が
「あまり姿を見かけない」
 と首を傾げる参与もいて、「守秘義務」を建前に、本当のところどこで、いつ、誰と、何をしているのか、何のためにいるのか、得体の知れない「側近」も交じっているらしい。その中で、この人は目立っている方だろう。
 本田悦朗。国際金融担当の内閣官房参与兼務のまま三月、スイス大使に任命された。
「欧州の大使になりたい」
 という本人の宿願を、安倍晋三首相がかなえてあげたのだという。スイス大使はオウム事件で狙撃された國松孝次・元警察庁長官、安保法制の憲法解釈を変えた故小松一郎・元内閣法制局長官らが歴任した軽くないポストだ。元財務官僚とはいえ、審議官級で退官した本田には、破格の厚遇である。政官界は大使任命を
「早くも論功行賞か」{b・・・