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ロシアが主要な 「テロ戦士輸出国」に

「IS人材源」北カフカスという魔窟

2016年8月号

 イスラム過激派「イスラム国(IS)」内で、ロシアや旧ソ連諸国出身の戦闘員が急速に台頭している。六月末に起きた、トルコ・イスタンブールの国際空港での連続自爆テロはその一例。しかも、プーチン政権が二〇一四年のソチ冬季五輪前の治安対策として、テロ組織に加わりそうなイスラム教徒を、北カフカス地方から大量に出国させていた事実も発覚し、国際社会からは「テロリストの輸出」と厳しい目が向けられている。
国策だった過激派出国幇助
 トルコのテロを首謀したとみられるのは、北カフカス地方のチェチェン共和国にルーツをもつアフメト・チャタエフ容疑者。同容疑者は、チェチェン独立派としてロシア中央との二度の紛争に加わり、二〇〇三年にオーストリアに出国。以後、欧州やウクライナ、ジョージア(グルジア)を転々とし、トルコでIS戦闘員のリクルート活動を行っていたとされる。他の実行犯二人は、ウズベキスタン、キルギスの国籍だった。
 事件はIS戦闘員間での、ロシア出身者の伸張を浮き彫りにした。ロシア出身戦闘員は五千人ともされ、かなりの地位に昇進している者もいる。・・・