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政治

安倍と「電通」の 濃密なる癒着

世論操作と五輪利権で「相互依存」

2016年8月号

 参院で二十七年ぶりの単独過半数を獲得し、政界の「一強」態勢を確立した自民党。今回の参院選で圧勝劇を陰で支えたのが、年間売上高が四兆円を超える世界最大の広告代理店「電通」だ。最近は特に安倍晋三首相との蜜月関係を際立たせているが、その背景にあるのが二〇二〇年東京五輪・パラリンピックをめぐる巨大利権。大会運営や広報、関連行事の隅々に関わる「五輪マネー」を独占するため、政府の懐深く入り込み、「便利屋」を演じる様子が目立つ。
 参院選投開票の熱気が冷めやらぬ七月十三日の午後。安倍首相を乗せた車列は、東京・汐留の電通本社に滑り込んだ。同日の首相は、参院選の事後処理のため官邸で分刻みの面会をこなしていただけに、多くの総理番記者は不可思議な行動に首をかしげた。
 秘書官が番記者に説明した電通詣での用件は「海外広報戦略の説明を受ける」。結局、安倍首相は一時間半も電通社内に滞在した後、見送りの同社幹部に笑顔で手を振りながら汐留をあとにした。
 平日は官邸で数十人の面会をこなすような首相が、視察でもないのにわざわざ民間企業の社屋まで出向くのは異例のことだ。「海外広報戦略」がど・・・