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社会・文化

「女性天皇」認めないのは女性蔑視

園部逸夫 (元最高裁判所判事)

2016年9月号

 ―天皇陛下が国民に向け、「生前退位」を強くにじませた放送をされました。どうご覧になりましたか?
 園部 私は昭和二十年八月に、十六歳の学徒兵として台湾で昭和天皇の終戦のラジオ放送を聞いた。受信状況が悪かったが、やがて意味が分かり、大きな衝撃を受けた。その時以来、自分の生涯で二度目の、非常に重要な天皇陛下のお言葉だ。厳粛に拝見した。
 私は『皇室法概論』で、生前の退位に否定的見解を示した。当時は天皇陛下もお元気であったからだ。
 しかし、天皇皇后両陛下のご苦労、懸命なご様子を見て考え直し、三年前の講演ではその旨を話した。天皇陛下の国事行為や公的行為は非常に多い。日本に赴任する、各国新任大使の信任状捧呈式だけでもかなりの数だ。被災地にも足を運ばれ続ける。
 すべてを務めるのは大変なことだ。欧州の王室、ローマ法王にも生前退位の例がある。

 ―生前退位の手続きとしては、「今回限り」の特別法制定と皇室典範改正の、どちらが望ましいでしょうか?