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経済

《企業研究》三越伊勢丹HD

業績「急降下」と癒えぬ合併の後遺症

2016年10月号

「今年十一月にJR千葉駅の新駅舎とエキナカ施設の一部が開業し、千葉市中心市街地の再開発は三越などを中心に行われるハズだった。寝耳に水でとにかく驚いている。関係者と会って直接話を聞きたい」。千葉商工会議所の石井俊昭会頭(千葉銀行顧問)がこう言って唇を嚙み締める。
 業績不振が続いていた三越千葉店(売り場面積二・四七万平方メートル)の閉鎖を決めた三越伊勢丹ホールディングス(HD)。二〇一七年三月二十日をメドに営業を打ち切り、外商部門など一部の機能を近隣に開設する小型サロン店に移したうえ、撤退する。
 三越千葉店は江戸期創業の地元老舗呉服店「奈良屋」との合弁で一九七二年開業した「ニューナラヤ」が起源。八四年に「千葉三越」に衣替えした後、二〇〇三年に資本再編で三越千葉店として新始動した。しかし近接するライバルのそごう千葉店(同七・二五万平方メートル)に比べて規模で大きく見劣りするうえ、臨海部に相次いで開設された大型のショッピングセンターやアウトレットモールなどに客足を奪われて苦戦。一六年三月期の売上高は百二十六億円強と、ピーク時(五百七億円)の四分の一に落ち込み、〇九年三月・・・