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政治

密議で決まった自民「総裁任期延長」

世論を無視する一強与党の「驕慢」

2016年11月号

 特例か恒久制度かの駆け引きはあっても、複雑で重い課題には目を向けない―。天皇陛下の生前退位の話ではない。自民党総裁の任期見直し論議のことだ。
 九月二十日に「党・政治制度改革実行本部」(本部長=副総裁・高村正彦)の役員会で議論が始まってわずか一カ月、現在は二期六年を上限とする任期の延長が事実上決まった。また、十月二十六日、「連続三期九年」の案が了承され、来年の党大会で決定される。現総裁の安倍晋三は、二〇一八年秋の任期満了以降も続投可能になる。総理大臣の座が遠のきかねない外務大臣の岸田文雄や元幹事長の石破茂ら「ポスト安倍」候補が唱える慎重論も、いつの間にか萎んだ。
 七月の参議院議員選挙で自民党が国政選挙四連勝を果たした直後は、「安倍に二〇二〇年の東京五輪までやらせたい」という「安倍限定」の延長案が主流だったこともあり、岸田や石破だけでなく、小泉進次郎らも「優先すべき課題か」とかみついた。ところが、九月の同本部役員会では、「G7(先進七カ国)で主要政党党首の再選禁止規定があるのは日本だけ」(政務調査会長・茂木敏充)として、恒久的な見直しの方針が示された。
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