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社会・文化

日本の急所「サイバー防衛」

世界中の悪党が「東京五輪」を標的に

2016年12月号

 二〇二〇年七月二十四日午後九時、完成したばかりの新国立競技場—。東京オリンピックの開会式はまさに佳境に入りつつあった。八万人の大観衆が見守る中、ライトに彩られた各国選手団が笑顔で入場してくる。やがて天皇皇后両陛下がロイヤルボックスに着席し、そして「君が代」の演奏が始まった途端、異変は起きた。
 演奏を打ち消す大音響で、ビゼーの歌劇「カルメン」の前奏曲がスピーカーから一斉に流れ出し、会場を支配したのだ。観衆は何が起きたのか分からなかった。この曲が殺人の“狂想曲”であることを知る者も少なかったが、次の瞬間、すべての照明が落ち、闇の中から大型スクリーンに次のメッセージが浮かび上がったとき、日本国民はようやく事態を理解した。
〈日本よ、イルカを殺すな!〉

対策施設予算はわずか二十五億円

 小池百合子都政がスタートして以来、膨張する東京オリンピックの事業費を圧縮する名目で競技会場の建設計画が見直されている。しかし、メディアを賑わす“小池劇場&rdqu・・・