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社会・文化

虚飾まみれの「聖路加国際病院」

杜撰な労務と放漫経営で傾く「名門」

2017年1月号

 東京・築地に隣接する明石町はその昔、築地鉄砲洲と呼ばれ、明治初期の外国人居留地として知られる。立教学院や青山学院などミッション系学校の発祥の碑が佇む歴史ある街で、ひときわ目を引くのが聖路加国際病院だ。十字架を掲げるこの病院の存在により、明石町の一角だけは東京大空襲を免れたとの逸話も伝わる。今、その名門病院が杜撰な労務と財務で汚されている。仕事に見合わない収入にサービス残業……。病院内に渦巻いていた不満は爆発し、労働基準監督署に踏み込まれる事態にまで発展した。生え抜きでは「ブラック企業」と見切りを付ける医師が後を絶たない。そのひずみを突くように、「札付き」の輩が外部から入り込み、放漫経営を助長して赤字を垂れ流す。名誉院長として君臨する御年百五歳の日野原重明氏のカリスマが独善に変質して「白い巨塔」を蝕んだのだろうか。「聖路加ブランド」の虚構にメスを入れる。

若手の健康より日野原氏の名誉

「幹部がアホでやっていられません」。聖路加国際病院に勤務する医師は怒りを隠さない。病院関係者は労基・・・