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WORLD

《世界のキーパーソン》アミーナ・モハメッド(国連副事務総長)

危機の国連改革に挑む「六児の母」

2017年1月号

 国連が一月から、新体制になった。アントニオ・グテーレス事務総長の下でナンバー2を務めるのが、モハメッドである。一九六一年生まれ。母親が英国人、父親がナイジェリア人。母国ナイジェリアで開発援助のシンクタンクを設立して、若い頃から注目を集め、二〇〇二年以降は、国連を主要舞台に環境問題に取り組んできた。
 ナイジェリアでブハリ政権が誕生した時には、「環境相をやってくれ」と呼び戻された。ブハリ大統領が目指す「清新・クリーン」内閣の看板閣僚になったのである。それが今回、グテーレス新体制発足で、わずか一年余りで再び国連に呼び戻された。現在の国連がいかに危機にあるかは、グテーレス事務総長が昨年十二月の宣誓時に行った演説に要約されている。
「国連はプロセスに時間をかけすぎて、成果が出ていない。もっと効率を上げ、きちんと仕事をしなければだめだ」。シリア、ウクライナ、イラク、難民と世界中に難問だらけで、山ほど課題があるというのに、である。
「倒産した会社に乗り込んだ、新社長のようだった。『史上最低』『何もしない』と酷評された潘基文前事務総長の断罪のようにも聞こえた」と、大手・・・