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WORLD

アフリカ「奇跡の経済成長」を遂げる国々

最優等生は「エチオピア」

2017年2月号

 アフリカ大陸で、目を見張るような経済成長を続ける国々が現れた。それも、エチオピア、コートジボワール、ジブチ共和国、ルワンダなど、最近まで内戦や大量虐殺といった陰惨な話題ばかりだった国々だ。
 中でも、別格の速度を誇るのが東アフリカのエチオピアである。二〇〇六年から一五年までの十年間で、国内総生産(GDP)の成長率が一〇%以下だったのは、三度しかない。リーマン・ショック直後の〇九年と一二年が八%台で、一昨年が九・六%。国際通貨基金(IMF)や世界経済フォーラム(WEF)などほとんどの集計で、二〇一四年の成長率は世界一位だった。
 エチオピアは人口約一億人で、アフリカではナイジェリアに次ぐ人口大国だ。日本では何より長距離ランナーのスーパーパワーとして知られるが、現代史では社会主義独裁(一九七四年〜九一年)、エリトリア独立紛争(九〇年代)、大飢饉や干ばつ(八〇年代、二〇一一年)と、惨禍ばかりを体験した。

経済学者の教えの真逆を行う

 それが二十一世紀になって、「世界最速の成長」に転じたのは、同・・・