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経済

トランプが次に狙う「日本製造業」

日米「新貿易摩擦」の深刻な先行き

2017年2月号

 トランプ大統領の就任演説の大きな柱はやはり「工場を米国に戻し、雇用を回復する」ことだった。メキシコ工場の新設を取りやめ、米国内投資に切り替える企業は米フォードはじめ続々と出ている。これを第一波とすれば、第二波は中国から、第三波は東南アジア諸国連合(ASEAN)から米国への工場シフトになるだろう。アジアに築いた濃密な生産ネットワークを競争力の源泉とする日本製造業にとって、予期せぬ危機が襲いかかろうとしている。
「テリー・ゴウは本気なのか」。一月中旬、広東省東莞に拠点を置く日本の電子部品メーカーの幹部が、付き合いのある鴻海精密工業(ホンハイ)の役員にこう問い合わせたという。テリー・ゴウは言うまでもなく、ホンハイの郭台銘会長のことだ。
 トランプ大統領の「メキシコ工場批判」がトヨタ自動車を含め世界の大手メーカーに向けられるなか、郭会長は年初に七十億ドル(約八千億円)の対米投資を公表し、世界を驚かせた。その第一弾として郭会長は一月二十二日、米国での液晶パネル工場の建設を発表した。世界最大級の第十一世代工場になる、という。
 これは日本の電子産業にとって驚天動地の・・・