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社会・文化

《日本のサンクチュアリ》日本産科婦人科学会

「安心して産めない国」の元凶

2017年2月号

 二〇一六年生まれの子どもの数が一八九九年に統計を取り始めて以来、初めて百万人の大台を割り込む見通しとなり、日本の少子化は加速度を増す。晩婚化や経済事情、保育所問題……。その主因が指摘され、政府はその対策に腐心するが、どんなに策を弄したところで、産婦人科医がいなければ産みたくとも産めない「お産難民」が続出してしまう。だが、いま産科医は日本産科婦人科学会の主導した利己的な制度により激減し、人手不足に拍車が掛かるという不都合な事実は知られていない。元凶である日本産科婦人科学会の幹部は自らの蹉跌など知らぬ顔で、濡れ手で粟のごとくカネと利権をむさぼる。そして、その体質が産科医のなり手をさらに遠ざける悪循環に陥っている。産科医は子どもの減少を凌駕するスピードで減っており、このままでは医療現場の絶滅危惧種になりかねない。
 日本の産科医療が崩壊の瀬戸際にある現実を示すのは、皮肉にも日本産科婦人科学会の代議員で日本産婦人科医会の常務理事である中井章人・日本医科大学教授が二〇一四年十一月に発表した報告に凝縮されている。一二年度の産科医数は一万八百六十八人で、十年前・・・