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経済

《企業研究》ヤマト運輸

アマゾンに酷使され「存亡の危機」

2017年3月号

 ネット通販やフリーマーケット市場の拡大に伴う物量の膨張に「クロネコヤマト」が喘いでいる。宅配便取り扱い個数の増加ペースに、ドライバーをはじめとした人手の確保が追い付かず、外部の業者などへの配送委託費がかさんで収益基盤をじわり蝕んでいるのだ。
「想定以上にネガティブ」
 ヤマト運輸を中核事業会社とするヤマトホールディングス(HD)が二〇一七年三月期の第3四半期(3Q、一六年四〜十二月)決算発表と通期の業績予想の下方修正に踏み切った一月三十日、投資家らの間ではこんな声が広がった。何しろ2Q(四〜九月)までは前年同期比一六・四%増の二百九億円と増益基調で推移していた営業利益が、3Qでは同六・五%減の五百八十億円と一転、減益。通期でも期初予想の六百五十億円から七十億円下振れし、五百八十億円(前期比一五・四%減)と3Qまでと同じ水準にとどまるというのだ。つまり4Q(一七年一〜三月)は、まったく利益が出ないということにほかならない。
 巨大地震と巨大津波に見舞われて東日本の物流網が寸断された六年前。その一一年三月期の4Qでさえ、ヤマトHDはわずか二億円とはいえ、営業・・・