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米中の偶発的「軍事衝突」はありうる

緊張高める「迷走ホワイトハウス」

2017年3月号特別リポート

 二月に行われた日米首脳会談は、十年、二十年後の中国を日本にとって最大の「脅威」と見なし、精神的、実質的抑止力を確認、強化するにはおそらく比類のない効果を上げたろう。日米共同声明の冒頭に登場する「揺らぐことのない日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄及び自由の礎である。核及び通常戦力の双方によるあらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメント(関与)は揺るぎない」の文章に「核」が入ったのは、核の抑止力に依存しながら「核は持ち込ませず」などと騒いでいる童話の小人たちに巨大な現実を突きつけている。
 しかし、日米関係はあくまでも二国間外交である。ワシントンから世界を見渡してトランプ大統領が求愛しているのは東京ではなくモスクワだ。英エコノミスト誌二月十一日号の表紙を見るがいい。口紅を塗ったトランプ大統領とキスマークをつけたプーチン大統領が互いに目を見つめ合っている薄気味の悪い写真が載っているではないか。
 米露関係が果たして結婚にゴールインするかどうかは疑問だが、謎のまた謎はプーチン大統領の対中国政策だ。司令塔であるべきホワイトハウス自らが対・・・