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習近平「終身」国家主席への野望

党規約と憲法「ダブル改正」を強行

2017年5月号

 中国の国家主席、習近平にとって四月の米中首脳会談は秋の共産党大会をにらんだ国内政治の場でもあった。
 習近平は、トランプ米大統領との会談で米国と対等に渡り合い、中国国内に向けて独裁指導者「核心」にふさわしい威信を見せようとした。非公式会談なのに国賓待遇であるかのように彭麗媛夫人を同伴し、大統領夫妻と並立写真を撮った。そのために、先にフィンランドを夫婦で公式訪問し、帰途、米国に立ち寄るという形をわざわざ作った。
 だが、「核心」といわれるのは、かつて毛沢東、鄧小平、江沢民の三人しかいない。党総書記一期目の任期も終えていない習近平が「核心」を名乗るのは無理がある。だから、米国のような大国の指導者との首脳会談を通じて、中国国内で「習近平核心」イメージを定着させたいのだ。
「習近平核心」には、李克強首相をはじめ党内から根強い反対の声が上がったが、強引な人事攻勢で切り崩され、三月の全国人民代表大会(全人代)で李克強が「習核心」を受け入れたことで、表向き党内抗争は収束している。
 党規約に明記されていない、不確実な「核心」の地位を安定させるため、習近平は今・・・