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WORLD

「孤独の皇帝」習近平

信頼できる盟友・側近が欠如

2017年6月号

 中国の最高指導者「核心」の地位に就いた習近平国家主席が、約百三十の国・国際機関の元首や代表団を北京に集めて、自ら提案した現代版シルクロード「一帯一路」構想を盛り上げる国際首脳会議を開いた。その締めくくりとなる晴れの舞台の「記者会見」で、米国に代わって中国が世界を牽引すると気炎を上げた。
 だが、その記者会見場は記者が質問できないように設営されていた。会場前列は、張高麗・党中央政治局常務委員ら党や政府の高官たちで埋まり、後方席には御用記者団が座った。習近平の来場を総員起立の拍手で迎え、十五分間の演説が終わるとまた総員起立で見送った。会場から質問はなかった。
本当の取材記者団はその映像を会場から離れたプレスセンターのスクリーンで見るだけだった。ステージにひとり立つ習近平の姿は、まるで裸の王様のように孤独の影がつきまとっていた。
 習近平はなぜ形だけでも記者会見をして「世界の指導者」の肉声を発しなかったのか。秋の共産党大会を前に記者会見で聞かれたくない問題を抱えていたからだろう。
 習近平が恐れるのは、盟友、王岐山・党中央紀律検査委員会書記にかかわる・・・