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経済

ソニーが韓国LGに屈する「惨め」

「必敗」の有機ELテレビ再参入

2017年6月号

 二〇一八年三月期に過去最高益をうかがうソニーが、「ブラビアA1シリーズ」で有機エレクトロルミネッセンス(EL)テレビに再参入する。ソニー幹部は「〇七年に世界初の有機ELテレビを発売した実績があり、今後の主力製品になる」と胸を張る。だが、彼らが積極的に語りたがらない「不都合な事実」がある。肝心要の有機ELパネルを韓国LGディスプレーから調達するのだ。まさに「人の褌で相撲を取る」状態であり、「技術のソニー」のプライドをかなぐり捨てての再参入となる。
「海外で韓国ブランドに勝ち目のないソニーが、二〇年の東京五輪特需を見込んで国産ブランドがまだ通用する国内市場での勝負に出ようとしている」と、全国紙経済記者は指摘する。当然ながら同じパネルを採用しているのだから、競争力の要となる画像は「画像処理技術で多少の違いはあるが、一般消費者から見ればLGのテレビと大差ない」(家電量販店販売員)という。前出ソニー幹部は「有機ELパネル自体を振動させて音を出すことでスピーカーをなくすなどの差別化で競争力は十分にある」と反論する。が、「小手先の付加機能にすぎず、顧客にアピールするかどうかは微妙」と、前・・・