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日本は米国の「裏切り」に備えよ

欧州・アジアから引き始めたトランプ

2017年7月号特別リポート

 ポスト冷戦後の国際社会がどの方向に向かうかを占う材料はいろいろあるだろうが、大きな流れの中で一つの時代を画する動きがあったとすれば、この数カ月間に発生した国際的な出来事であったと観察しなければならないだろう。五月に習近平政権が自ら主導する「一帯一路」構想をテーマにした国際協力会議が、北京で開催された。ロシア、イタリア、フィリピンなど三十カ国からは首脳が参加した。また、表裏の関係になる海のシルクロード構想に含まれる港湾整備や海軍用の基地確保や整備を合わせると、「一帯一路」という現代版シルクロード構想は現実的に前に一歩を踏み出したことになる。
 南シナ海からシンガポールを通ってミャンマーのシットウェー、バングラデシュのチッタゴン、スリランカのハンバントタを経由してパキスタンのグワダルにつながる。これがさらに紅海を通じて地中海を経由し、ロッテルダムに進むとの構想に手がついただけで、「中華経済圏」の大構想がユーラシア大陸にわたってすんなり実現する、などと軽々しく口にできるはずもない。
 だが、大構想を中国主導で金融面の支えにしようとのアジアインフラ投資銀行(AIIB)の第・・・