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経済

原油安はまだまだ続く

「第二次シェール革命」米国が大増産

2017年7月号

 カタール制裁騒動やイランと米国の間の緊張激化と、地政学リスクが増しているのに、原油市場が弱気である。
 米国のシェールオイル生産が活発で世界的な供給過剰が続いているのが原因で、六月下旬には、ブレント原油価格が一バレル四十五ドルをあっさり割り込んだ。市場関係者の間では「三十ドルまで下がる」との予測も出始めた。
 価格低迷が長引く中で、世界の石油業界ではかつて考えられなかった合従連衡も始まった。
 五月下旬、サウジアラビア国営「サウジアラムコ」のアミン・ナセル最高経営責任者(CEO)が、ロシアの石油最大手「ロスネフチ」のイゴーリ・セチンCEOをアラムコ本社に招待し、前代未聞の「石油サミット」を行った。
 ソ連時代はもちろん、ソ連消滅後もロシアは石油輸出国機構(OPEC)に加盟せず、サウジにとっては制御不能なライバルだった。そんな両国の業界トップが直接対話をした。この歴史的イベントをもたらしたのは、その直前にOPECと非OPEC各国の協調減産を来年三月まで延期することを決めたのに、原油価格がさっぱり上がってこないからだった。

サウジ=ロシア同盟も不発・・・