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経済

トヨタ章男「出任せ」経営の深刻

在任八年でも描けぬ「長期戦略」

2017年7月号

「株主総会を一年で一番楽しみな日にしたいと申し上げてきた。本日はそれに一歩近づけたと思う」
 二〇一七年六月十四日に開かれたトヨタ自動車の株主総会で豊田章男社長は涙ぐみながら挨拶した。しかし、章男社長が株主総会で「説明責任」を果たしたとはいえない。トヨタの競争力強化や具体的な研究開発構想などの将来戦略については、回答をコンパクトカーカンパニープレジデントの宮内一公専務役員や先進技術開発カンパニープレジデントの伊勢清貴専務役員、コネクティッドカンパニープレジデントの友山茂樹専務役員ら幹部に丸投げ。章男社長は「前例踏襲ではなく、スピードと前例無視で行動していく」などと曖昧な答弁に終始した。
 総会の終盤には「チャレンジは始まったばかり。失敗から何かを学び一歩前へ進む」と述べた。「社長在任八年でチャレンジは始まったばかりとは。今まで何をしていたのか」と、トヨタと取引のある部品メーカー関係者はあきれ返る。前任の渡辺捷昭氏の社長在位期間は四年、張富士夫氏が六年、カリスマ経営者として評価の高かった奥田碩氏は、三年十カ月にすぎない。これほどの長期政権でありながら、二期連続の大幅減・・・