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政治

安倍と岸田の「密約」

禅譲含み「次」を巡る水面下の蠢動

2017年8月号

 事実は小説よりも奇なり。女性として初めての首相の座を目指していた二人の政治家が同時に表舞台から消えた。防衛相稲田朋美と民進党代表の蓮舫。そしてたった一人無傷で勝ち残った女性リーダーがいる。東京都知事の小池百合子である。小池は愛読書に『失敗の本質』(戸部良一ら)を挙げる。旧日本軍の敗因を掘り下げたこの本から多くを学んだという。「戦略目標がない」「自己変革ができない」。そして「情に流される」。結末は無残な終戦を招く―。小池がどこまで『失敗の本質』に学び、実践に移したのかは判然としないが、昨年七月の東京都知事選圧勝から始まった劇場型の小池旋風の前に自民党は悉く敗走した。
 七月二日の都議会議員選挙。自民党は告示前の五十七議席から二十三議席という大敗に終わった。これに対して小池が結成した「都民ファーストの会」はいきなり五十五議席を獲得して都議会第一党に躍り出た。この敗戦をきっかけに高位安定を維持してきた内閣支持率は急落した。ついには七月二十四日付毎日新聞朝刊に「支持率二六%」の活字が一面トップに躍った。その下には「仙台市長選 自公敗北」の記事。「内閣支持率の高さ」と「選挙に強い」と・・・