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経済

《企業研究》三菱重工業

凋落「スリーダイヤ」の真っ暗な近未来図

2017年8月号

「世界に飛ばすぞ!国産ジェット」
 愛知県営名古屋空港の傍らに立つ三菱重工業の航空宇宙システム製作所。その航空機最終組立工場を訪れた同社取引先関係者の一人は、工場内壁にこう大書された横断幕に何とも皮肉気な視線を送った。
 三菱重工が社運を賭けて進める小型ジェット旅客機MRJ(三菱リージョナルジェット)開発プロジェクトが“危機”に陥っている。量産初号機の納入時期がここにきて、またまた延期へと追い込まれたのだ。二〇一八年半ばとしてきたローンチカスタマー、ANAホールディングスへの引き渡し時期は二〇年半ばへとおよそ二年先送り。当初の予定だった一三年からは実に七年もの遅れで、しかも五度目の納入延期だ。
「最高水準の安全性能を国際的に説明できるようにするには設計の変更が必要だと判断した」
 今年一月の会見で宮永俊一社長はこう釈明したが、二〇年半ばに納入するには遅くとも一九年末までには安全性のお墨付きである「型式証明」を取らなければならない。これまで米国で一年間にわたって積み重ねてきた四百時間超の飛行試験は一からやり直しとなり、計画さ・・・