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WORLD

危うしカタール  「サッカーW杯開催」

湾岸諸国「内紛」の重すぎる代償

2017年9月号

 ロシアの次、つまり五年後の二〇二二年サッカー・ワールドカップ(W杯)の開催地はカタールと決まっているが、今その雲行きが怪しい。
 中東・北アフリカ地域で初めての開催となる、いわば「アラブの宿願」が、「王様」(首長)の一存で大金をどのようにも動かすことのできる同国の賄賂工作で勝ち取られたものであることは、今や周知の事実だ。その全容をひた隠しにしてきたFIFA(国際サッカー連盟)は今年六月末、ドイツ紙のスクープを受け、倫理委員会の調査報告(ガルシア報告)の全文公開に追い込まれた。
 しかし七年も前に行われた裏工作についての新事実は、カタール開催というFIFAの機関決定を覆す大スキャンダルに発展することはなかった。投票権を有する理事の娘の口座に二百万ドルの趣旨不明の資金が振り込まれていた、などの調査結果は世間を驚かせたが、既に多くの幹部が辞任、退任等で姿をくらましている「スポーツ貴族互助会」の不正を正すまでの力はなかったのだ。
 一〇年の決定以来、すべてが異例ずくめの小国カタール開催案は、国際的な物議を醸してきた。
 スタジアムの建設作業に動員された・・・