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政治

諦めムードの「憲法改正」

安倍も自民党も「やる気喪失」

2017年9月号

 嵐が通り過ぎるまで頭を低くし、「死んだふり」で反転攻勢を図るつもりが、本当に「死に体」となっていた―。総理大臣・安倍晋三が在任中の実現を目指す憲法改正の行方を、最近の安倍の振る舞いから見通すなら、そんな展望になる。「年内」としていた自由民主党としての具体的な憲法改正案の提出時期を先送りしたからではない。政権の印象を変えようとした苦し紛れの人事で改憲推進の中核チームを解体したことが、悲観論の最大の根拠となっている。
 八月三日の自民党役員人事・内閣改造の前までの改憲のキーマンと言えば、衆議院憲法審査会長の森英介、党憲法改正推進本部事務局長だった上川陽子、同本部で上川を補佐してきた西村康稔の「トライアングル」だった。といっても、彼らに対する評価が一朝一夕に高まったわけではない。
 二〇一五年通常国会で安全保障関連法制を巡り、衆院憲法審査会に自民党が参考人として招いた学者が「安保法案は違憲」と発言した。その人選にかかわった党憲法改正推進本部長(当時)の船田元が更迭されると、憲法問題とは無縁だった森が後任に起用され、その後、衆院憲法審査会長だった保岡興治とポストが入れ替わ・・・