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経済

《地方金融の研究》福邦銀行

三田村一族「長期支配」の罪と罰

2017年10月号

「従前より低下していた収益力はこの一年でさらに低下し、その回復も当面は見込みにくい。加えて保有有価証券にかかるリスクは小さくなく、資本の充実度にも改善の余地がある状態が続いている」
 日本格付研究所がこう意見表明して“その銀行”の格下げに踏み切ったのは今年九月のことだった。それまでBBBだった長期発行体格付はBBBマイナスへと一段降下。投資不適格とされる「BB以下」が目前の水準で、まさに「崖っぷち」(金融筋)と言えなくもない。
 福邦銀行―。福井県を地盤とする第二地銀で、連結総資産は四千五百十六億円(六月末時点)。業界下位行ながら県内三十二店舗をはじめ石川、京都、大阪の三府県に計六支店を展開する。本店のある福井市順化地区は地元関係者によれば「県内いや北陸を代表する歓楽街」。同じエリアに位置し、指呼の間にある県内トップ地銀、福井銀行の本拠地では二〇二〇年十二月開業を目指して総事業費約百億円を投じる本店建て替えプロジェクトも来年秋から本格始動する。
 だが、福邦銀をいま包み込んでいるのはこうした周囲の華やかさとはまるで裏腹ともいえる「閉・・・