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連載

西風437

にわかに「鉄道計画ラッシュ」

2017年10月号

 国内で、関西圏だけが高度成長時代を髣髴とさせる鉄道計画ラッシュに沸いている。増加する外国人観光客の輸送だけでなく、市民の足としても期待される新線だが、あまりに期待が先行している。
 九月一日、阪急電鉄が大阪・梅田と大阪国際(伊丹)空港を直結する新路線の建設を検討していると、各社が一斉に報じた。阪急宝塚線曽根駅から空港までの約三キロに地下路線を建設して、梅田まで繫ぐ構想だ。実現すれば梅田と伊丹が初めて「鉄路」で直結する。
 ご存じの通り、大阪空港には大阪モノレールが乗り入れているものの、この路線は梅田周辺を通らない。関西の中心地である梅田に出るためには、モノレールから蛍池駅で阪急宝塚線、もしくは千里中央駅で大阪市営地下鉄に乗り換えなければならない。そのため、空港バスを利用する人が多くを占めるが所要時間はたいして変わらない上に渋滞のリスクがあった。
 今回の新線計画が実現すると梅田~空港間を十五分以内で結ぶというから劇的な改善だ。
 大阪空港への鉄道乗り入れは一九七〇年代にも検討されたことがあった。しかし、当時、大阪空港は関西国際空港のオープン後に・・・