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「習近平独裁」で失速する中国経済

「共産党vs新興企業」の対立が深刻に

2017年11月号

 第十九回共産党大会は習近平総書記を「建国の父」、毛沢東と並ぶ歴史的指導者に祭り上げた。今後、習体制による「党の支配」は、政治はもとより国民生活や経済運営、さらに企業にまで拡大する。一方で、経済の主役は素材、エネルギー、重厚長大型の国有企業からICT(情報コミュニケーション技術)、バイオ、新エネルギーなどの二十一世紀に入って飛躍した民間主体の新興企業に急激にシフトしつつある。「党の支配」に対し、自由で開放的な体制を求める新興経済の衝突は二期目に入る習政権の足元を揺るがす最大の懸念となるだろう。
 党大会の一カ月ほど前、中国発の“金融危機”が世界を襲った。といってもリーマンショックのような株式、債券や不動産などのリアルな財物市場で起きたわけではない。不安視されながらも世界で膨張する仮想通貨「ビットコイン」が舞台の金融危機だ。中国政府が突然、ビットコインの国内取引を禁止、相場が暴落した。
 中国は世界のビットコインの三分の二を保有し、ビットコインの中核である取引所とマイニング(通貨の安全性を担保し、コインを創出する膨大な計算の代行業務)でも世界の・・・