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ドイツ財政は「真っ黒字」快走中

将来の経済難に備える「堅実国家」

2018年1月号

「快適な高層タワーの寄宿舎に住みませんか」
「社員食堂で、温かくて健康的な昼食をどうぞ」
 こんな求人広告がドイツにあふれている。好調な輸出に引っ張られて、空前の好景気。全土で百万人もの人手不足が生じているからだ。国家財政は近年にない大黒字で、ドイツ政界では「黒字を何に使うのか」で各党が合意できず、なかなか連立政権が組めないという珍現象まで起きている。
 中でも景気がいいのは、自動車産業や機械工業の多いバイエルン州やバーデンビュルテンベルク州。自動車大手「BMW」や多国籍企業「シーメンス」本社のあるミュンヘン周辺では、六万人の労働力が不足している。ドイツ全体の失業率は二〇一七年十月に三・六%まで下がったが、工業が主産業である南部の中小都市では、失業率一%台がずらりと並び、「求人」が目下最大の課題なのだ。
「社員食堂とか社宅は、結構大きな魅力になっています。こういう時代には、細かな条件でも大企業に負けないようにしないと」と、ミュンヘンのある中堅精密機械の経営者は言う。バイエルン州は中東やアジアからの難民がドイツに渡る際の「入り口」になるため、反難民・・・