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社会・文化

日本医師会長「横倉四選」の裏事情

診療報酬「増額」で安倍政権と結託

2018年2月号

「大胆な税制、予算、規制改革、生産性革命の実現に向かってあらゆる施策を総動員してまいります!」。首相安倍晋三は昨年九月、衆院解散に踏み切ったときの記者会見で、こう豪語したが、その言とは無縁の馴れ合いと利権の温存を象徴したのが、診療報酬改定である。昨年末の二〇一八年度の予算編成では、医師の技術料に相当する診療報酬本体が〇・五五%増で決着した。日本医師会(日医)会長の横倉義武は「一定の評価」とコメントしたが、それもむべなるかな。国家の厳しい財政状態を考えれば、わずかとはいえ増額は日医の勝利であるばかりか、今年六月の会長選挙で横倉の四選が確定的になったからだ。
 首相とて、国家の懐事情など二の次。来年の参院選、そして来るべき衆院選をにらみ、日医に恩を売って固い組織票を死守しなければならない。互いの権勢保持のため、財政を圧迫する医療費をも意のままに操る業界団体と政治の結託を放置してよいのか。
 横倉は昨年十月に第六十八代世界医師会長にも就任した。第二十九代武見太郎、第五十二代坪井栄孝についで、日本人で三人目だ。世界医師会長就任、診療報酬増額、さらに迎える日医会長四選―。横倉・・・