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韓国「国家情報院」の哀しき凋落

対北朝鮮スパイ工作から「撤退」へ

2018年3月号

 数百人規模の北朝鮮代表団が大挙して押し寄せた二月の韓国。三池淵管弦楽団の玄松月団長ら要人のそばを固めるボディーガードたちをニュース画面で見ながら、「ここまで落ちぶれたか」と嘆息した人々がいる。韓国の情報機関、国家情報院の現役やOBたちだ。「俺たちは、北韓と戦う誇り高き集団じゃなかったのか」。
 北朝鮮ににじり寄る文在寅政権。かつての所在地から、「泣く子も黙る南山」と呼ばれ、巨大な権力を誇った国情院がすさまじい勢いで凋落している。
 文政権は「積弊清算」の名の下に保守政治の業績を次々につぶしている。その一つが、国情院の解体だ。韓国大統領府は一月、国情院の名前を「対外安保情報院」とする再編方針を発表した。国内部門を廃止して北朝鮮と外国の情報収集に集中するほか、北朝鮮がらみの捜査権限も剝奪するという。
 国情院は韓国中央情報部(KCIA)、国家安全企画部と呼ばれた時代を通じ、北朝鮮と様々な暗闘を繰り広げてきた。北朝鮮がらみの情報収集はもちろん、韓国に侵入した北朝鮮スパイの逮捕、海外に出てきた北朝鮮要人の籠絡、北朝鮮要人らの暗殺などである。
 特に、決・・・