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政治

《罪深きはこの官僚》岡崎淳一( 厚生労働省参与)

「大噓」裁量労働データの 責任者

2018年3月号

「残業代ゼロ法案」と揶揄されて以降、ホワイトカラー・エグゼンプション、高度プロフェッショナル制度など、次々と名前を変えて国会の俎上に載せられてきた労働基準法の改正案がまたしても暗礁に乗り上げつつある。原因は周知の通り、厚生労働省が作成した裁量労働制についてのあまりに杜撰なデータだ。答弁の撤回と謝罪に追い込まれた安倍晋三首相ら「官邸は厚労省に激怒しており、加藤勝信厚労相が頭を抱えている」(政治部記者)。
 裁量労働制の方が労働時間が短くなるかのように捏造した資料は、少なくとも二〇一五年七月時点から使われているが、この作成を決裁した上、今日に至るまで使い続け、今回の労働基準法改正の叩き台を作った「戦犯」が岡崎淳一である。官邸にとって悩ましいのは、現在も厚労省幹部が集う同省十二階に毎日通ってくる岡崎が、制度上は昨年七月時点で退官しているという点だ。
 一九八〇年に東京大学法学部を卒業した岡崎は、旧労働省に入省後、労政担当参事官、大臣官房長、職業安定局長や労働基準局長を歴任してきた。特に、労働基準局長時代に今回の資料作成に直接的に関与している。一五年九月には厚労審議官となり・・・