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超大国なのに「みんな素人」の米政権

高官交代率「五割」のトランプ王宮

2018年4月号

 米国のドナルド・トランプ政権の人材流出が止まらない。
 政権発足から一年二カ月あまりで、約半数の高官が解任や辞任で去り、交代率は約五〇%で「少なくとも過去百年はなかった」(米シンクタンクの米国史専門家)事態である。有能な人材が政権入りを尻込みする中で、後任人事の劣化も猛烈な勢いで進んでいる。
 昨年夏、国家経済会議委員長のゲイリー・コーン氏に辞任のうわさが出た時、「コーン辞任で、ダウ指数は一千ポイント下がる」と予測した専門家がいた。コーン氏が三月六日に辞任した後、米株価は三月二十三日の終値まで、確かに一千ポイント近く下がった。これは同氏辞任のせいではなく、米国と中国の貿易戦争が迫ったことへの反応だったが、同氏は最後まで貿易戦争を止めようとしていた。
 だが、トランプ大統領は頑として聞き入れない。そこでコーン氏は、ムニューチン財務長官と共に、「貿易戦争になれば米国の株価が大きな影響を受ける」と訴えた。株式指数上昇は、トランプ大統領が常日頃自慢している「自分の実績」だ。それでも動じない大統領に、コーン氏は、「関税導入は物価を押し上げて、中産階級を苦しめます。・・・