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社会・文化

「森友追及」大阪地検特捜部の実相

今なぜ安倍政権に弓を引けるのか

2018年4月号


 風向きが変わったきっかけは一月のとある訃報だった―。発覚から一年以上が経過した三月、突如として再燃した森友学園問題で、財務省が揺れに揺れている。一方、現場を抱える大阪地方検察庁の特別捜査部は過去の身から出たさびで臥薪嘗胆の歳月を送ってきたが、この奇矯な問題と訃報に伴う新たな布陣により、春の追い風が吹く。その大阪地検特捜部を中核とする「関西検察」は法務省ばかりか、首相官邸をも巻き込み、自らの復権を懸けた駆け引きを水面下で繰り広げている。
 一月二十一日、東京高等検察庁検事長などを歴任した法律家、小貫芳信氏ががんのため死去した。二〇一二年四月から最高裁判所判事を務めていたが、亡くなるわずか五日前、十六日に体調不良を理由に依願退官していた。最高裁判事の検察ポストは、不文律の指定席だ。法務・検察はすぐに後任の人選に着手した。全国紙の検察担当記者が語る。
「年次や現在のポスト、検事総長になる可能性の有無から大阪高検検事長だった三浦守氏が送り込まれた。玉突き人事ではあったが、比較的すんなりと決まった」。空いた大阪高検検事長ポストに座ったのが上野友慈氏だ。昨年四月に・・・