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トルコが狙う「東地中海ガス資源」強奪

エルドアン「膨張主義」の野心露わ

2018年5月号

「トルコ軍機が接触を求めています」
 四月十七日の午後、エーゲ海を飛行中のギリシャ軍ヘリコプターからこんな緊急連絡が入り、首都アテネの官庁街に衝撃が走った。ヘリには、アレクシス・ツィプラス首相とギリシャ軍のエバンゲロス・アポストラキス参謀総長が乗っていた。二機のギリシャ軍戦闘機が緊急発進し、トルコ軍機はヘリ付近の空域から去った。
 首相はこの日、ヘリを使ってエーゲ海の島々を遊説していた。
 トルコ軍機の接近を受ける直前には、トルコの海岸からわずか三キロのカステロリゾ島で、「何が起ころうと領土は守る。一センチたりとも譲らない」と島民に語ったばかり。在イスラエル情報筋は「トルコ軍機はもちろん、首相搭乗を承知で嫌がらせをしかけてきた。悪質な心理戦だ」と言う。

一触即発状態のエーゲ海

 首相が島めぐりを行ったのも、わずか五日前の四月十二日、エーゲ海に領空侵犯したトルコ軍機とギリシャ軍機のドッグファイト(近接戦闘)があり、ギリシャ側のミラージュ戦闘機が海に墜落して、ギリシャ空軍のパイロット・・・