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経済

《企業研究》文藝春秋

名門出版社の俗悪すぎる「お家騒動」

2018年6月号

 人生は一局の将棋なり、指し直す能わず―。
 将棋をこよなく愛した作家、菊池寛が好んだ言葉だ。その菊池が興した出版社「文藝春秋」で、まさに「待ったなし」の騒動が勃発している。
 文藝春秋社内が次期社長人事を巡ってざわつき出したのは四月に入ってからだった。その後一気に社内に広がり、五月には中堅幹部が連名で、人事の白紙撤回、松井清人社長の排除を訴えたメールを社内に発信し、その後、要望書を経営陣に提出するまでにエスカレートしている。実名を連ねた者の中には、同社の看板雑誌「文藝春秋」の編集長、大松芳男の名前もあった。
 五月三十日の役員会には松井社長の人事案が諮られ、六月二十九日には株主総会が控えているが、お家騒動はそこまでもつれ込みそうな雲行きなのだ。

「院政」を画策した松井社長の思惑

 今年に入ってから、出版業界である噂が流れ始めた。
「松井さんが文春の会長になるらしい。木俣(正剛。常務取締役)が社長になれないそうだ……」
 後ほど詳細・・・