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経済

「植民地」日本郵政を死守する総務省

ゆうちょ銀「攻防戦」は金融庁の惨敗

2018年6月号

“森改革は一時の花火になりつつある”
 前号でも触れた、金融庁にばらまかれた怪文書がこう書き記したように、金融庁長官、森信親の改革は失敗に終わろうとしている。
 金融機関の自立を促した政策は成果を見ることはなかった。むしろ、その反動からか今年に入るや、金融機関への立ち入り検査数は急増、金融“処分”庁へと先祖返りしてしまった。そして、金融庁の企画立案能力を知らしめると、森が並々ならぬ覚悟で臨んだ日本郵政グループへの介入も、一敗地に塗れようとしている。
 三月に入って間もなくのこと、金融庁監督局長、遠藤俊英は顔を真っ赤にし烈火の如く怒る森の罵声に堪えていた。思いはあるものの、それがうまく言葉にならない。いわゆるコミュニケーション障害気味の森は、怒るとさらに言葉に詰まる。遠藤を前に森は机を叩いて叱責した。
「お前がしっかりしないから……、お前がしっかりしないから……」
 森が言葉を詰まらせながら監督局長を叱責したのは、金融庁が、つまり森自身・・・