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経済

《地方金融の研究》みちのく銀行

ぼったくるのか「血税二百億円」

2018年7月号

 意気投合した男女間での「放置プレイ」は許されても、銀行員による事務処理の放置はいただけない。
 青森市に本店を置くみちのく銀行の内部定期監査で設備資金融資を巡る不正が発覚したのは、昨年十二月のこと。外部の信用保証機関への提出書類と融資前の稟議書などに添付されていた書類に差異があることに気づいた担当者が調査を進めたところ、実際にかかった設備導入費用が見積もりを下回っていたにもかかわらず、保証機関に対して融資額変更など必要となる届け出をしないまま「放置」。領収書などの金額を書き換えて渡し、辻褄合わせをしていたことが判明したのだ。
 慌てた同行ではこれを受けて急遽、各営業店の設備資金融資を全て洗い出し。その結果、二〇一二年十一月から一七年十月までの間に本店を含む県内八店舗で領収書偽造など類似の手口による計十七件、総額二・五億円余の融資不正が見つかったという。
 関与したのは課長級を含む二十~五十歳代の行員七人。中には融資額が余るのを前提に、実質的な運転資金を設備資金名目で融資するといった、「銀行員にとってはタブー」(メガバンク幹部)といわれる資金使途違反事案も・・・