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経済

トヨタの激怒に震える「電通」

広告業界が驚く章男「ドケチ路線」

2018年7月号

 広告代理店の雄、電通の社内で“深圳の悲劇”と言われる事件が持ち上がったのは今年三月。現地で行われたトヨタ自動車最高級ブランド「レクサス」の新型試乗会の会場だった。
「レクサス」の試乗会ということもあって日本から社長・豊田章男、副社長で、友山茂樹(副社長)とともに章男の側近中の側近である小林耕士が会場に足を運んだ。イベントの仕切りは電通。電通は北京をはじめ上海、広州、武漢などに拠点を置いているが、トヨタとの窓口は北京、いうなれば“電通中国”として扱っていた。
 トヨタから最高首脳がやって来るということで現場はピリピリしていたが、電通がトヨタのイベントを任されるのは初めてではなく、電通はいつものように章男に最大限の気遣いをしていた。その象徴が専用トイレ、専用シャワールームを設えた巨大RVトレーラーだった。もちろん、章男ただ一人のためだけに用意されたものだった。
 三月とはいえ、すでに深圳の気温は平均して二十五度前後になっていた。電通ばかりか、現地のトヨタにしても、気温の高さは気になるところ。彼らにすれば、これく・・・