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経済

パイオニアの侘しき「終活」

事業の「断捨離」済ませて奈落へ

2018年9月号

 カーナビゲーションシステム大手で、かつてのオーディオ(AV)機器の名門、パイオニアに刻一刻「Xデー」が迫りつつある。
 九月二十五日―。この日、三菱UFJ銀行を主幹事とする銀行団から一年前に借り入れたシンジケートローン百三十三億円の返済期限を迎えるのだ。
 ひとまず返せないわけではない。手元資金(現預金)は六月末時点で約二百九十一億円ある。そこから借金を返済しても百六十億円弱が残る計算だ。
 だが、およそ三カ月後の十二月十七日に今度は三井住友銀行を主幹事とする銀行団から借りたシンジケートローン四十四億円の返済期限が到来。その後も来年三月末まで、リース債務十一億円強も合わせた計三百五十三億円もの借金返済期限が次々とやってくる。
 それにパイオニアからはいま、猛烈な勢いで資金の流出が続いている。純現金収支(フリーキャッシュフロー)は三年連続マイナス。二〇一八年三月期の赤字幅は百七十二億円にも達した。同四~六月期も五十六億円強の赤字。借金返済を迫られる一方で、仮にこのペースでのキャッシュアウトが続いていけば、来年三月末を待つことなく、この年末にもあえ・・・