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経済

韓国経済「サムスン依存」の限界

半導体市況下落で一巻の終わりに

2018年9月号

 文在寅大統領率いる韓国経済の足元がふらついている。四―六月の成長率は年率換算二・九%に低下、三%成長の公約に黄色信号が灯る。先進国としてはまだ高い成長率だが、実態は「リーマンショック時に近い落ち込み」というのが経済界のコンセンサス。最低賃金の大幅引き上げなど左派的政策が大企業の投資意欲を削ぎ、人件費増に苦しむ中小企業はリストラを加速する。親北政策で支持率を保ってきた文政権だが、経済では国民に見放されつつある。韓国民が最後に期待するのは半導体景気に沸くサムスン電子だが、そこにも凋落の空気が漂い始めた。
「狂っている」。韓国の有力経済人のひとりは文政権の経済政策についてこう吐き捨てた。文大統領は昨年の就任直後、雇用者の法定最低賃金を「時給一万ウォン(約九百八十三円)に引き上げる」と宣言。最低賃金を今年度は一六・四%、来年度は一〇・九%引き上げる。現状では時給は八千三百五十ウォン(約八百二十一円)まで上昇しており、韓国特有の「週休手当」を含めると実質時給は約九百九十円、日本で最も高い東京都区部の九百八十五円を上回っている。
 日本と韓国の一人当たりGDP(国内総生産)を・・・