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経済

《地方金融の研究》山梨県民信組

赤字垂れ流しの「公的資金焼却炉」

2018年9月号

 みずほ証券や損害保険ジャパン日本興亜など大手金融機関の支店や支社が軒を連ねる山梨県甲府市の相生地区。その一角に本店を構える信用組合「山梨県民信組」にいま、地元財界人らの何とも不安げな視線が注がれている。二〇一七年三月期と一八年三月期に二期連続最終赤字に陥るなど経営の屋台骨が大きく揺らいでいるからだ。
 信組といっても、その存在感は大きい。貸出金残高は今年三月末で二千八百五十億円。富士吉田市に本拠を置く二位の都留信組に一千億円超の差をつけているばかりか、甲府信用金庫や山梨信用金庫をも凌駕。県内シェアは一七%にものぼり、地方銀行の山梨中央銀行に次ぐ域内ナンバーツーの金融機関だ。
 全国的にみても上位クラス。貸出金残高がいずれも四千億円を超え、「御三家」とも呼ばれる近畿産業信組、茨城県信組、広島市信組に次ぐ四番手グループにつけ、大阪協栄信組や警視庁職員信組などと肩を並べる規模だ。「万が一にも『破綻』などということになれば、地域経済や信用秩序に与えるマイナスのインパクトは計り知れない」。甲府商工会議所関係者は漏らす。

「経営改革プラン」という画餅・・・