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経済

日本「撤退」を決める外資企業たち

アベノミクス「逆回転」の象徴

2018年10月号

 日本市場から撤退または事業縮小に踏み切る外資の小売り、外食チェーンが増えている。米アパレル・ブランドの「Old Navy」が二〇一七年に全面撤退したのを皮切りに、服飾・インテリアブランドの「ローラ アシュレイ」が今夏、全店舗を閉じた。ファストフードではサンドイッチの「サブウェイ」の苦戦が続き、撤退が噂される。国内総生産(GDP)で世界第三位の日本市場は依然、魅力的なはずだが、「少子高齢化だけでは説明できない急激な消費減退」(アパレル関係者)が外資に日本市場への意欲を失わせている。
 八月半ば、夏休みの観光客もあって賑わう横浜・元町。個性的な横浜ブランドが客を集めるなか、ある店舗の前にちょっとした人だかりができていた。ローラ アシュレイ直営の路面店の閉店セールに来店した人たちだ。値下げを期待するというよりも「日本ではもう買えなくなる」と心配した固定ファンが定番商品を買う姿が目立った。
 ローラ アシュレイは戦後生まれの英国企業で、花や草をモチーフとした英国の伝統的な意匠を軸に華やかさを加えた斬新なデザインと色使いで、世界的な人気ブランドとなった。日本進出は一九八六年・・・

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