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アフリカで「湖水消失」の危機続発

地球温暖化と「人災」の二重苦で

2018年10月号

 ヴィクトリア湖を筆頭とするアフリカの大湖群が危機に瀕している。地球温暖化の影響で湖水面積が縮小する一方で、住民による漁業資源の乱獲、生態系の破壊、水質汚染など人間による環境破壊が急速に進んでいる。
 チャド湖のように湖面積がかつての十分の一以下にまで縮小した例があるほか、湖の利権争いから、沿岸国同士の軍事衝突に発展する事件も起きている。

一割以下に縮んだチャド湖

「これは途方もない人道危機だ」「一千七百万人が極貧、暴力紛争に苦しんでいる」。
 九月上旬、ドイツの首都ベルリンの外務省庁舎で開かれた国際人道会合。まるで大規模内戦を扱っているかのような言葉が、参加者から相次いだ。会合の主題は、チャド湖の惨状および国際支援で、昨年冬にノルウェーの首都オスロで開催されたのに次ぐ、二回目の国際会合だ。
 会合では国際機関や欧州連合(EU)などが、合計で二十一億ドルの支援を行うことを表明した。これは沿岸国の一つであるチャドの国内総生産(GDP)の五分の一に迫る金額である。
 チャド・・・